自律神経と鍼灸
2020.08.22
身体に不調があり、特に病気と診断されないとき、自律神経の乱れが身体の不調を起こしていることがあります。
そこで今回は自律神経について、また自律神経に対する鍼灸治療について紹介します。
自律神経とは
全身に分布し、心臓の動き、汗、消化、血圧、ホルモン分泌などを調節している神経が自律神経です。
この神経は交感神経と副交感神経に分類され、それぞれ相反する働きを持っています。
日中など活動しているときは交感神経が、対して睡眠中や休息中には副交感神経が優位に働いています。
交感神経 |
副交感神経 |
・血管を収縮させる | ・血管を拡張させる |
・血圧、心拍数を上げる |
・血圧、心拍数を下げる |
・消化を抑制する | ・消化を促進する |
各々がバランスを保って作用することで、健康な身体を維持することができますが、バランスが崩れると、全身に様々な不調が現れやすくなります。
自律神経が乱れる原因
症状が起こる人の特徴として、交感神経が優位になっていることが多いです。
乱れる原因の多くは、不規則な生活習慣(睡眠、栄養)、身体的・精神的ストレスなどですが、痛みや天気(気圧)も交感神経を活発にさせるので、乱れる原因の一つになります。
自律神経が乱れると起こる主な症状
・めまい、動悸、頭重、頭痛
・不眠、寝汗
・肩こり、腰痛
・腹痛、胃痛、便秘、下痢
・食欲不振、悪心
・精神的症状(イライラ、不安感、集中力の低下など)
自律神経に対する鍼灸治療の効果
鍼灸治療により加えられた刺激が、神経や脊髄または脳に伝えられ、身体に様々な反射反応を起こします。
・血液循環改善
・ホルモン分泌
・鎮痛システムの賦活 など
これらの影響により自律神経のバランスを整える効果が期待できます。また、ツボを用いて東洋医学的に治療することができるのも、鍼灸治療の強みです。
(灸で使用するもぐさはよもぎから作られ、鎮痛効果やリラックス効果が期待できる)
鍼灸治療の対象は痛みであることが多いですが、自律神経が乱れることによる症状の治療や予防としても効果を発揮します。また、鍼灸治療は副作用も少なく、他の治療と並行して受けることができるので、継続して施術を受けるのもお薦めです。
(文/上加世田裕也)