私が医者を志した理由
2016.07.15コラム
前もって申しますが、私が医者を志したのは、人の命を救いたいとか、人の役に立ちたいとかいった高尚な動機からでは決してありません。私は田舎の農家の次男(長男は生後すぐに死んだため実質長男のようなもの)として生まれました。周りは唯一役所に勤めていた叔父を除いて、親戚、近所全て農業で生計を立てている人ばかりでした。そのため私も子供の頃から稲刈り、野菜の収穫、出荷の手伝い等いろいろ経験しました。そんな状況の中で中学三年の時、担任の先生に「君は世間に出て社会の中で競争していけるタイプの人間でないから、医者とか弁護士、研究者といった一人でやっていける職業に就いたらいいのではないか。」とアドバイスを受けました。
あまり将来のことをそれ程考えていなかった私は、おぼろげながらもそれで目標を持つことができました。幼少期より私の体が弱く、零細農家であったため、両親も農家を継がせるという意思は毛頭なかったと思います。そんな中で、京都市内の私立の進学校にたまたま受かってしまい、遠距離ですが通学することになりました。
いざ入ってみると文科系の科目の成績はそこそこでしたが、数学、物理といった理系の科目の成績が悪く、必然的に弁護士を目指すようになりました。ところが高校三年生の時、またも担任の先生から「君は医者に向いているのではないか。」といわれ、高三の秋から急遽志望を医学部に変更しました。そして新たに理系の科目を勉強し直すこととなりました。(当時の受験は文系学部は英語・数学・国語・文系2科目・理系1科目で、理系学部は英語・数学・国語・文系1科目・理系2科目となっていた)進路変更をするのが遅かったのか、実力が足らなかったのか受験に見事に失敗。一浪してやっと私立の医大に入ることができました。そして今の私があるわけです。
もしこの仕事に就いていなければ、今頃は万年○長で定年を迎え、変化の乏しい生活を送っていたことでしょう。振り返ってみて、私は今の仕事に非常に満足しています。日々が充実しており、感謝してもらえることもあって、この仕事で良かったと思っています。そして私の性格を見抜いて私のためによきアドバイスをくれた二人の恩師に感謝しています。
内科 山本良昭